Vol.1 キネマの神様
キネマの神様 原田マハ
「観る度に思う。映画は旅なのだと。」
概要:39歳バリキャリウーマンの歩は事実無根の理由から自己退職へ追い込まれる。まさに、人生のどん底。しかも、ここに父親の心臓手術も重なり人生のどん底のどん底まで行ってしまう。ハローワークへ通う日々を送る歩に突然一本の電話が入る。それは、小さな映画雑誌を営む編集長からだった。この電話を境に歩(とその周辺人物)の人生の歯車が大きく動き出すこととなる。
意見:若干厚みがある文庫なのだが、軽快なタッチと続きが気になる状況が続くので無意識に引き込まれてしまう徹夜必須の小説である。私も例に漏れず1日で読破してしまった。様々な映画のオマージュが盛り込まれているため、映画好きには堪らない一冊なのではないか。しかし、私はそこまで映画に精通していないためたぶんこの本の50%位しか楽しめていない。
非常に悔しい。
せめて、ニューシネマパラダイス位は見ておくべきだったと後悔している。強めに頭をどこかに打って記憶を無くしてもう一度新鮮な気持ちで本書の1ページ目を開きたいが、そんなことできるはずもなく途方に暮れてしまう。
(これからキネマの神様を読もうと考えている同士諸君には、ニューシネマパラダイスの履修を強く進める。)
この小説の最大の魅力はやはり映画論評の部分である。歩の父親が書く論評はどれも心温まるものであり、実際に見たい!という気持ちにさせてくれる。しかし、私含め現代に生きるビジネスマンには2時間1つのことに集中するのはかなり体力がいる。
最近テトリスしかできなくなってしまった私には重荷すぎる。
シンエヴァを映画館で見るなんて、夢のまた夢である。
本書は、好きなことを仕事にする素晴らしさ・熱中したモノはいずれ自分を助ける大きな武器になると謳っていると私は思っている。しかし、同時に映画1本すら見られない人々が沢山いる現在を嘆いているようにも思う。
好きなことを仕事にできた歩がとても羨ましい。
しかも、成功しているのであるからハンカチを噛むほど羨ましい。好きでも何でもないことを職業にして少額の給料で日々やり繰りしている私にとっては嫉妬の対象である。
嫉妬と同時に私が寝食を忘れて熱中するほど好きなものなんて無いのでは、、、?と考えさせられてしまった。
寝る前にふと考える日々が続いた。私は何が好きなのだろうか?
20後半になると何気ない瞬間にこの手の悩みにぶち当たるので嫌なものである。
日々疲れを感じながら仕事をこなし、テトリスしかできなくなってしまった同士諸君がこの本を手に取り今一度自分の好きなことを考えるきっかけになればと思う。
追記:この本をベースにした映画があの菅田将暉主演でロードショーするらしい。
意気揚々とHPを訪ねたところ開いた口が塞がらない。よく原作者許したな、、、と逆に感心してしまう改変(改悪にならないことを心の底から願う)ぶりである。
しかし、一応URLを載せておきたい。(ジュリーを見たらバナナマン日村を想起してしまうのは私だけなのだろうか?)
近日公開となっているので、早めに読了し同士諸君がツウぶれることを祈っている。